white color exceptionを想う

表題ですが…、ちょっと前に話題になっていた所謂「裁量労働制」のことです。多様な働き方に対応するために、自由な時間に働いて良い代わりに給料を固定性にする、と言うアレです。既に管理職には取り入れられているようです。今回コレを、管理職だけからデスクワーカー全体に広げようと言うことですが…。


文面を見ると一見いいように見えですが、これ、所謂実力主義とはちょっと違います。実力主義、ちゃんと機能すればよい事かもしれません。ところが、実際にはちょっと違います。
例えば、同じ仕事を5時間でこなす人と10時間でこなす人がいたとします。今までは5時間でこなしていた人は残業代なし、10時間でこなしていた人には残業代2時間がつきました。ところがこの法律が通ると両方とも残業代なし、になります。もし、10時間で仕事をこなす人が途中でのんびりやっていたり、サボったり、8時間以内でこなす力が無ければこれはある意味実力主義だといえるかもしれません。ところが…よく考えてみてください。この制度ですと5時間で終わらせた人は何も得をしていないにもかかわらず10時間で終わらせた人だけが損をしています。これは本当に実力主義でしょうか?


 そして…皆さんはこの法律には暗い裏があることに気付きましたか?
この法律は「会社が社員に与えた仕事が適正である」ことを前提に作られています。この制度は、会社側が本来8時間で普通に終わる(と常識で考えられる)仕事を与えていることが前提になっています。この前提があるときのみ正常に機能するのです。では、現在の社会でこの前提が成り立つでしょうか? 答えはNOと言わざる得ません。実際には会社は普通の人がやって12時間かかる仕事を平然と与えますこの仕事に対する報酬は本来12時間、つまり8時間勤務+4時間の残業代となるはずです。しかし、裁量労働制ではこの仕事をこなしたとしても8時間分の報酬しか支払われません。そして、会社がこのような仕事を課しているかどうかをチェックする機関日本にはありません
 そうなれば会社は当然12時間どころか15時間、20時間分仕事を課すでしょう。そうしたほうが儲かりますから当然です。当然社員はこんなことに耐えらるわけがありません。自殺や過労死が多発するでしょう。しかも、それを労災と認定することはできなくなります。裁量労働制ですから、出社退社時間をチェックするタイムカードなど必要ありません。当然会社もそんなものを置きません。すると…過労死だと言う証拠はどこにもなくなります。会社側は大喜び、社員を酷使し放題です。
 当然世の中にはこんなことをしない善良な会社もあります。むしろそのような会社が大多数でしょう(と信じたいですね)。ところが、この新制度では、仕事時間に関係なく同じ賃金なのですから、当然たくさん働かせた会社のほうが儲けは良くなります。つまり、常識的な仕事量を社員に課す善良な会社が、非常識な仕事量を社員に課し過労死を多発させる悪質企業に駆逐されてしまう恐れがあるのです。そして、結局社会には悪質な会社だけが残ると言うわけです。


さて、これでも本当に必要ですか?裁量労働制